Simon & Garfunkel『Bridge Over Troubled Water』比較レビュー

Simon & Garfunkel『Bridge Over Troubled Water』比較レビュー
この記事はだいたい 8 分前後で読めます。

元々はBlu-spec CD2で持っていただけでしたが、新たにSBM CDとmobil fidelity盤を購入しましたので比較レビューします。ビートルズのポール・マッカートニーも絶賛したデュエットですが、このアルバムが彼らにとっての最後のスタジオ・アルバムになりました。

1970年リリースでグラミー賞最優秀アルバム賞を受賞しました。

他のアルバムも美しい旋律のものばかりですが、私には退屈してしまうものばかりなのも事実です。しかしこのアルバムだけは違っていました。最も売れたアルバムだからというよりは、アルバム全体の多彩さが最後まで退屈することなく聴かせるのです。個別の曲で特に気に入ったものだけコメントします。

Bridge Over Troubled Water

アルバム・タイトルの曲がオープニング曲になっています。この曲がオープニングでなければ印象が薄いアルバムになっていたかもしれません。英語を訳すると河でも氾濫したのかと思うようなタイトルですが、音楽はグランド・ピアノの空に舞い上がっていく旋律から始まります。この部分だけでもお金を払う価値があります。

後半に向けて盛り上がっていく曲です。レッド・ツェッペリンの『天国への階段』をイメージするといいでしょう。

El Condor Pasa

この曲はペルーの伝承曲をDaniel Alomía Roblesが採譜し、Simon & Garfunkelがアレンジしてリリースしたとなっていますがやはり民族音楽だろうと思います。中学時代に学校で良く演奏させられた記憶があります。

So Long, Frank Lloyd Wright

アコースティックギターが曲を通して、メロディーラインとリズムギターを合わせたフレーズを弾いています。歌詞も曲もシンプルですが、このギターにより妙に聴き入ってしまいます。

The Boxer

ボブ・ディランにカバーされた曲。アコースティックギターだけでシンプルなままでも行ける曲をストリングス等を入れて壮大に仕上げても素晴らしいのが、Simon & Garfunkelなのだろうと再認識させられる曲。

The Only Living Boy in New York

背景に流れる二人のハーモニーがあまりにも綺麗な曲。しかし私はこの曲でベーシストの上手さを実感してしまいました。ジョー・オズボーンという方ですが曲に合わせながら音数を増やして曲が退屈にならない演奏です。

Bye Bye Love

エヴァリー・ブラザーズのカバー曲でライブ録音になります。手拍子が続きます。こうしてみるとスタジオ・アルバム5作目でありながら全曲オリジナル曲でないアーティストというのも珍しいです。

Song for the Asking

この曲はバロック調に仕上げたのは正解です。ラストの曲で何か格調高い音楽になっています。

SBM CDと言われても良く分からない人が多いと思いますので、SONYさんより技術説明を引用しました。1990年代の技術だったと記憶しています。LPからCDへと変遷していく中で当時通常のCDとは違った高音質を謳ったものでした。分かりやすく言うとハイレゾがなかった時代にハイレゾと同等の音質に迫ったCDということです。

今ならハイレゾで聴けばいいしこのCDをプレミアを払ってまで購入する価値はあるのかという疑問もあります。後ほど説明しますが私は買う価値がこのアルバムに関してはあると思います。

SBM ( Super Bit Mapping ) とは、人間の可聴帯域内でも特に耳につきやすいノイズを減らすことで、聴覚上のダイナミックレンジを飛躍的に拡大する機能です。
20bitのデータを16bitに変換するとき、従来は捨て去られる下位データの中の上位4bit分の情報量を16bitの中に織り込むことにより16bit録音で20bit相当の音質になります。

SONYより引用

明日に架ける橋(Blu-spec CD2)

買った当初はこれが一番だと思っていました。しかし後の2枚でレビューしているようにこのBlu-spec CD2盤が一番私にとっては音質の悪いCDとなりました。

先ず、オープニングの『Bridge Over Troubled Water』のピアノの音が安っぽい音です。音に締まりがなくぼやけているように感じます。あまり拘りなく聴くだけならこのCDは綺麗でいい音質となるのでしょうが、他の2枚を聴いたら考えが変わってしまいます。

明日に架ける橋(SBM)

中古市場でもあまり見かけないし、あったとしても1万円以上のプレミアム価格となっています。原理的にはハイレゾと同じなのでハイレゾを聴けばいいだけですが、私にはハイレゾに手を出す勇気がありませんでした。

このCDはコンプレッサーを掛けたような音で、音が詰まったような濃厚さがあります。真空管アンプの音に似ていて音が広がっていく感じはありません。その代わりに一音一音にとてもハリがあり押し出しが強いです。この部分が後述するmobil fidelity盤との決定的な音質の違いです。

人によっては音が硬いと感じるかもしれません。正直私にとってはこの3枚のCDの中で残すべき1枚であることは事実です。SONYの技術力は素晴らしいです。

Bridge Over Troubled Water (Mobile Fidelity Hybrid SACD)

全世界で3,000枚の限定リリースということでmobil fidelityからリマスター盤が発売になりました。amazonで予約しましたが買えず、米国本社でもout of stockという異常な人気なのに驚きながらもタワーレコードで購入できました。私が買ったとたんに売り切れとなったので本当に凄い人気です。

mobil fidelityには『Hotel California』のリマスターで裏切られているので期待はしていませんでした。しかし一聴して人気の理由が分かりました。恐らく『明日に架ける橋』のCDではこれがベストでしょう。

オープニングの『Bridge Over Troubled Water』のピアノの響きが違います。左手の動きが分かる音で明瞭な音でもあります。アルバム全体としては音の粒子が細かくなっただけでなく各楽器の演奏位置が離れていて非常に丁寧に聴こえます。

ボーカルの響きからしてとてもくっきりしています。そしてアナログのような柔らかさもあり後々プレミアムなアルバムになるでしょう。

この記事を書いた人

ogoe 男性

福島県南相馬市原町区から上京してきて30年以上経ちます。仕事は、財務経理が20年以上、不動産関係が10年以上経験があります。趣味は音楽と写真。過去の曲でなかなか聴く機会のないアルバムを若い世代に紹介していきたいと思ってます。

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