The Beach Boysと言ったら『Surfin’ U.S.A.』が有名で代名詞的な曲ではあるが、このアルバムはそれまでの路線とは一線を画するものである。ビートルズの『ラバー・ソウル』に影響を受けた、バンドのリーダーのブライアン・ウィルソンがバンド活動とは別に独自に制作したアルバム。
ビートルズがただの人気ロック・バンドから変わり始めたのも『ラバー・ソウル』からで、この時期がなかったら歴史に残るほどのバンドではなかったかもしれない。音楽にアートが融合したときスタンダード曲とか観賞用のものに昇華する。アートとは作曲者の哲学が音符になり、やはりクラシック業界で使用される楽器も加わって録音されることでより重厚なサウンドになる。
クラシックの方がロックより歴史が古く現在でも廃れることがないのは、普遍の真理が包含されているからだろう。そうでなければ時代の変遷の中で消滅しているだろう。分かりやすく言えば、聴衆に飽きられ聴く人が激減して消滅しているということである。
『Pet Sounds』はこれまでのビーチ・ボーイズの明るいオープンな曲から内省的な曲に変わった点に特徴がある。初めてレコードで聴いたときはモノラル録音で音質的にも良さが理解できなかったが、今はステレオ・ミックスも発売されて音質の向上が見られるので十分楽しめる。
このアルバムはプロの作詞家が作詞を行うことを主体として、ブライアンが作曲している。バンドのメンバーはコーラスと楽器の演奏に参加しているだけ。かなり本格的に取り組んでいたことが伺える。
- 『Pet Sounds』にはモノラル盤とステレオ・ミックスの2通りのバージョンがある。
- どちらもブライアン・ウィルソンが監修している。
- 人生につまづいた時に聴きたくなるアルバム。
DCC Compact Classics盤
DCC Compact Classics社がAUDIO FIDELITY社に社名変更し、リマスター方式も変わったと考えている。リマスターはスティーブ・ホフマンが継続して行っているが真空管アンプ等からトランジスタ型へ機材の変更もあったと思う。
サウンドが全く違うからだ。音圧が低くなりコンプレッサーのかかったような音ではなくフラットになったからだ。音の伸びや広大さが必要なクラシックにはDCC Compact Classics社のリマスターは向いていないからだ。
しかし、ロックやジャズには合っている。特にスカスカ気味の音質には効果がある。濃密なサウンドに変化して高級感が出るからだ。
私はヤフオクで購入したが中古市場にもなかなか出てこないが音質はこれが一番と言ってもいい。モノラル特有の古臭さ、単調さはない。AUDIO FIDELITY社のものも持っているが全然聴かなくなった。低音の音の太さや押し出しが強いのはDCC盤の方で私にはこちらが合っている。
但し、フラットなサウンドを求めているならばAUDIO FIDELITY社がいい。別に好みの問題で音質が悪いわけではなく通常盤を聴くのよりもずっといい音質であるからだ。
Mobile Fidelity Sound Lab盤
ブライアン・ウィルソンがリミックスしたステレオ音源からのリマスター盤。当然ことながら音場は広がりオーケストラは聴きやすい。立体的なサウンドと言っていい。モノラルの音質が嫌いな人はステレオ・ミックス盤がいいだろう。
私はDCC盤との出会いがなければ、こちらのアルバムを良く聴いていたからだ。モノラル、ステレオどちらもいい音質で気に入っている。気分で使い分けている。
モノラルとステレオ両方が収録されているものが面白い。私の持っているリマスター盤はプレミア価格になっているので、気軽に聴くならユニバーサル盤がいい。
この記事を書いた人
ogoe 男性
福島県南相馬市原町区から上京してきて30年以上経ちます。仕事は、財務経理が20年以上、不動産関係が10年以上経験があります。趣味は音楽と写真。過去の曲でなかなか聴く機会のないアルバムを若い世代に紹介していきたいと思ってます。